イケメンなんか大嫌い
わたしも若かった。
学生の頃は、並み居る女子達に違わず、ルックスが良く、スポーツだったり勉強だったり、わかりやすい何かに秀でている男子に惹かれ、恋をした。
認めたくはないが、俊弥はあのルックスに加え、スポーツも勉強も出来た。
俊弥だけじゃない。
中学のクラスメイトだった山崎くんも、高校の一学年上の律先輩も……。
だけど何度か恋を重ねるうちに、気付いて来るのだ。
この人達は、女子に慣れているが故に、傷付けるような態度を見せるのだ。
はじめは、心の中にかかった、よくわからないもやを、子どもながらにぼんやりと感じていただけだった。
律先輩に失恋した時、わたしの中に燻っていたその想いの形が、はっきりと見えた。
女を試して、品定めしている……と。
わたしの背中に腕を回した、賢司くんの背中を抱き締め返す。
ゆっくりと、唇を重ねた。
次第に深く絡み合いながら、わたしの身体の上を滑り出す彼の手。
中高生の頃のような、ドキドキ感はない。
それは大人になったせいではなく、月日が経ったマンネリのせいでもない。
最初からドキドキしていない。
わたしは安心感を得たいが為に、恋のドキドキ感を諦めたんだ──