イケメンなんか大嫌い
過去と現在は繋がっている
わたしと俊弥と愛唯ちゃんは、幼稚園の頃からいつも3人一緒だった。
小さな園だったので、同じ小学校に上がるのは3人だけということもあり、親同士も仲良くしていた。
幼稚園の頃は、俊弥も可愛らしい子どもだった。
「みまちゃん、おにわであそぼー」
「うん!」
いつも手を繋いで、よくわたしの家の庭や、近所の公園や河川敷ではしゃいだ。
3人の時もあれば、どちらかとふたりの時もあり、この頃は何の問題もなく仲が良かった。
ある時俊弥とふたりで、わたしの家でお菓子を食べた後、絵本を読んでいた。
「おうじさまとすえながくしあわせにくらしました。めでたしめでたし」
絵本を読み終えたわたしが顔を上げると、俊弥は何やらお菓子の包み紙をいじっている。
「もうっ! しゅんやくんぜんぜんきいてない!」
わたしがふくれると、俊弥は顔を輝かせて手を差し出した。
「できた!」
「なに?」
不思議そうに首を傾げたわたしの左手を取って、包み紙で作った物体を薬指にはめたのだった。
「……ゆびわ?」
「大きくなったら、けっこんしてくれる? みまちゃん」
「えっ……う、うん」
「やったぁ!」
思いがけない彼の行動に、気持ちが高揚して、よくわからないままに頷いてしまった。
その時の俊弥の、本当に嬉しそうな屈託ない笑顔と、キラキラ光る包み紙指輪の光沢は、今でも忘れられない。