イケメンなんか大嫌い
愛唯ちゃんは出会った当初から女の子らしくて、がさつで口うるさいわたしとは真逆のような子だった。
いつもフリルやリボンの付いた、白や赤やピンクの、いかにも女子っぽい服を着こなしていた。
「あい、あたらしいおようふくなんだー、かわいい?」
「かわいいね! あいちゃん」
そんな俊弥と愛唯ちゃんのやり取りは、1万回くらい見た気がする。
「俊弥くん! 見てー新しいワンピース」
「可愛いんじゃない。愛唯ちゃんは何でも似合うよ」
小3になってもそのやり取りは続いていたが、わたしと俊弥の関係は変化して来ていた。
男子との喧嘩が日常茶飯事となっていたわたしは、いつもTシャツにミニスカート、その下にレギンスという出で立ち。
俊弥とも喧嘩友達に成り下がった。
「男と張り合うなよな、未麻の男女」
「こっちのセリフだし! 俊弥の二重人格!」
あの可愛らしかった俊弥は何処へ姿を消してしまったのか?
小学校へ上がってからの俊弥は、徐々に人が変わったように意地悪な男子へと変貌した。
しかしそれはわたしの前でのみ顕著に現れており、愛唯ちゃんや他の女子に対しては意地悪は言わないので、余計に腹が立った。
わたしのことだけ名前を呼び捨てにして、見下されていると感じ、呼び捨てし返していた。