イケメンなんか大嫌い

わたし以外の女子には優しく、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能と三拍子揃った俊弥は、当然の如く低学年の頃から目立っていたが、学年が上がるにつれその人気を不動のものとして行った。
特に女子からの人気は、部活動が始まる4年生に上がった頃、サッカー部に入部してから爆発的となった。

4年生ともなると、女子の恋バナも本格化して来る。
わたし達のいがみ合いを仲が良いと捉える子も多く、よく質問を受けた。

「未麻ちゃん、俊弥くんと仲良いけど、付き合ってないよね?」
「は!? そんなわけないじゃん!」

「付き合ってなくても、好きなんじゃないの?」
「全然!」

付き合うだの好きだのといった話をしているうちに、そういえば……と、忘れかけていた記憶が思い起された。

『大きくなったら、けっこんしてくれる?』

脳裏に浮かんだ俊弥の満面の笑顔を、冷や汗を流しつつ即座に掻き消した。
小さな頃の冗談でしょ、あんなの……。

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