イケメンなんか大嫌い
俊弥の運転でふたり乗りをして、着いたのは河川敷。
小さな頃、いつもはしゃぎ回った場所だった。
堤防から川辺へ降りる半ばの草むらに腰を下ろし、黙って夕日を眺め始めた俊弥に倣った。
美しい夕焼けに照らされながら、遠くを見つめたまま動かない俊弥。
「……お前……好きな奴いる?」
「えっ……?」
唐突に口を切った声に振り向くと、端正な真顔と目が合った。
なんでそんなこと聞くの……?
『俊弥くんと付き合ってるの?』
『大きくなったら、けっこんしてくれる?』
頭の中に響いては消えた台詞と、俊弥の眼差しにどぎまぎして、目を逸らした。
「……わかんない」
熱くなって来た顔を俯けて、膝の上で合わせた両手に力が入った。
「……ふぅん。急に大人しくなったのは、色気付いたんじゃないの」
「……そういうわけじゃ」
お互い目を合わせずに呟いた。