イケメンなんか大嫌い
川面が夕空の光を反射して、キラキラと輝いている。
再度黙り込んだ後、俊弥が口を開いた。
「……母さんが入院したのは、父さんのせいだ。今回の出張だって、どうせ女と会ってるんだ」
吐き出された俊弥の胸中に、あまりに驚いて目を見張った。
何と返したら良いのかわからず、大きく波打っている自分の心音が響く。
しばし逡巡したのち、躊躇いながらも震えそうな手で、俊弥の手を握った。
俊弥の冷たい手が、微かにぴくんと動く。
僅かに間を置いてから、手を握り返して来た。
幼い頃から幾度も繋いで来たその手は、いつの間にかわたしよりも大きくなっていた。
それからわたし達の間には、以前とは違う空気が流れているように窺えたが、あまり気に留めないようにしていた。
顔を合わせれば口もきくが、中学年の頃の喧嘩仲間とも違った雰囲気が、妙に居心地悪く感じられた。