イケメンなんか大嫌い

そのまま6年に上がり、2学期に入った頃。
休み時間の廊下で唐突にわたしを呼び止めた愛唯ちゃんが、声を潜めて頬を赤らめた。

「未麻ちゃん、あたし俊弥くんに告白していい?」

突如受けた衝撃に、わたしは咄嗟に言葉を失う。

「……えっ……? ……なんでわたしにそんなこと聞くの? 愛唯ちゃんの自由だよね……」

しどろもどろでようやく返すと「良かった」と満面の笑顔を見せてくれた。

愛唯ちゃんの俊弥に対する想いは薄々気付いてはいた。
それが幼なじみとしての領域を越えていることも。


数日後、学校を出て2~3分の道程の住宅街で、俊弥が壁にもたれて佇んでいた。

「あのさ」

話し掛けてきた彼の姿に、わたしを待っていたのか? と頭を掠めた。

「愛唯ちゃんに告られた」

目を合わせて、じっと続きを待っていると発せられた、知っていたはずの報告。

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