イケメンなんか大嫌い
「……良かったじゃん、愛唯ちゃんみたいな可愛い彼女出来て」
笑顔を浮かべ祝福の言葉を返すと、俊弥はしばし口を一文字に結んで視線を投げ返した後。
「……そーだな。お前とは大違い」
そう言い捨てて、踵を返して去って行った。
程なくして、ふたりが付き合い始めたという噂が流れた。
ふたりが仲睦まじく寄り添い、休み時間を過ごしたり帰って行ったりする様を視界に収めた。
胸に漂う違和感は、ふたりが幼なじみではなくなったから。
わたしは事実として受け止めたつもりでいたが、半月程経った頃、俊弥をからかう男子との会話を偶然聞いてしまう。
「俊弥は香坂と付き合ってんのかと思ってた」
胸が一度大きく鼓動を打ち、身を隠したまま聞き耳を立ててしまう。
表情までは確認出来なかったが、速るわたしの心臓のドキドキとは裏腹に、冷ややかな声が響いた。
「……付き合わねーし。未麻みたいな可愛くない奴」