イケメンなんか大嫌い
その言葉は、まるでエコーがかかったようで……。
何年経ってもわたしは、取り憑かれたままなのだろうか。
──あれから、俊弥は特に動きを見せていない。
「未麻ちゃん?」
賢司くんの声に、はっと我に返り、顔を上げた。
「どうかした? ぼんやりして」
「……ごめんね、何でもない」
微笑み返したが、あまり上手く笑えなかったかもしれない。
宵闇が深まる時刻、いつものカフェで夕食を取ったところだ。
今日は明日休みの賢司くんが泊まって行くから、平日だけど少しお酒を飲んだ。
だけどアルコールを入れても、何だか気分が上がらない。
先程デザートに注文した、シュークリームが運ばれて来た。
テーブルに置かれた皿を目に映すや否や、選択を誤ったと後悔した。
大ぶりのシュークリームに、フォークが添えられている。
「わー……美味しそー……」