イケメンなんか大嫌い
動揺を悟られないよう努めて笑顔を作った。
シュークリームを店で注文したのは初めてであることに、目の当たりにしてから気付いた。
これ……どうやって食べれば……!?
「未麻ちゃん前から此処のシュークリーム気にしてたもんねー」
呑気に笑う賢司くんをよそに、恐る恐るフォークを入れてみると案の定、皮がよれてぐちゃっと潰れた。
綺麗に食べられない……こんな姿、賢司くんに見せたくない……!
目の前の賢司くんをちらりと見遣ると、まだお酒を飲んでいて、瞳にはほろ酔いの色が浮かんでいる。
機嫌も良さそうだし頓着しないかもしれないけれど、がさつな面はなるたけ見せたくない。
シュークリームのおかげですっかり覚醒したわたしは、格闘を続けていた。
すると天の助けか、賢司くんがお手洗いに立った。
今のうちに食べてしまえ!
彼が壁の向こうに姿を消した隙に、そそくさとシュークリームを紙ナプキンに包んで手に持ち、大口を開けた。
「ぶはっ」
途端背後から響いた、失礼極まりない男の笑い声に顔を青くした。