イケメンなんか大嫌い
俊弥がレジに向かって歩を進めている間に、賢司くんが戻って来た。
テーブルに近付くと、俯いているわたしの異変を察知したのか、うろたえ始める。
「……未麻ちゃん? 具合でも悪い?」
心配そうにわたしの顔を覗き込む瞳を、見上げた。
「……ん、帰ろ……」
とぼとぼと帰路に着く。
仄暗い足元を、街灯が照らしている。
繋がれた賢司くんの手をぎゅっと握り返した。
それに反応してわたしへ顔を向けた賢司くんの瞳が、大きく見開かれる。
「……未麻ちゃん……どうしたの!?」
「……え?」
彼の右手がわたしの顔へ伸びて来て、確信した。
頬を熱い液体が流れている。
顎まで伝って、アスファルトへと滴り落ちた。
……わたし、何でこんな泣いてんの……?
「……お腹……痛くて……」
さすがに苦しいかと感じつつも、自分でも何故号泣しているのかよくわからず、上手い言い訳が思い付かない。
賢司くんの指が涙を拭いながら、真っ直ぐにわたしと目を合わせた。
「……未麻ちゃん最近どうしたの?」
「えっ……」
「何か心配事? 気になることあるなら、話して欲しい……」
左手でわたしの指先を繋ぎ直した、彼の切なげな眼差しに、胸が熱く、同時に酷く傷んだ。
言えない……この真っ直ぐな人に、他の男のせいで頭悩ませてるなんて……。