イケメンなんか大嫌い

『昨日ご連絡頂いたオーダーの……ニューユニオンビルの件なんですけど、エンドユーザー様から何が何でも工事を開店に間に合わせて欲しいとごねられてまして……何とかなりませんかね?』

確かに、ライフラインが通っていないのでは開店どころではないだろう、お客様の言い分はもっともなのだが。

「新築の建物なので、ビルの設備が出来上がらない以上進められないんですけどねー……設備担当さんから未完成で返ってるので、昨日の今日じゃ同じ回答かと思いますけど」

『……ですよね~……そこを何とか! って何処に言えば良いですか?』

「竣工に合わせて進めているはずなので、間に合わないってことは無いとは思いますけどー……また設備さんに確認入れておきます」

例の飲み会以来、女性同士ということもあってか、坂井さんとは打ち解けて来ていた。
クールビューティーのイメージが先行していたが、近頃は人懐こそうな雰囲気を醸している。
実はこちらが彼女の素なのだろうか?それを推し量れる程にはまだ親しくはないが。

電話を置き、思案を巡らせた。
さすがに昨日の今日では連絡しづらい。今日は金曜日なので、週明けくらいにでも確認してみようと、一旦資料を仕舞った。

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