熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
お互い見つめあったまま握手する。
大きながっしりとした手。
手を出すと、ぐいっと引っ張られて、
力強く握られる。
握ったまま、彼は私の手を放そうとしない。
「美夜先輩」
彼は、にっこり笑いながら、
指で私の手の甲を撫でている。
「ええっと」
そんなことするのは、
どういう意味なんでですか?
そうしてるうちに、彼は、
握った手をすっと引き寄せ口元へもっていく。
「いえ、あの……」
ちょ、ちょっと。待って。
まったく、油断も隙も無い。
彼の唇に触れる寸前で手を引っ込めた。
取りあえず否定しなきゃ。
「ええっと……」
人違いだと思いますよ、とか。
それが、彼からは全く違う反応が返って来た。
「美夜先輩、これからですけど、
お時間ありますか?」
彼が時計を見て、笑いかけてくる。
そうすると、ふっと口元がゆるむのね。
男の人の口もとって、
あんなにセクシーだったんだ。
開くたび、彼の唇に目が釘付けになる。
「はい。お時間あります」
「美夜先輩は、
これから都内へ行かれますか?」
「はい」
「リムジンで?」
「はい。リムジンバスで」
「だったらご一緒にどうです?
私もリムジンですよ」
「えっと、バスで……」
「インペリアルホテルまで行きますから。
そこでいいでしょう?」
「はい」
「よかった。バスより快適ですよ。
それに、もうしばらく一緒にいられますね」