熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
砂漠の国のプリンス
6年過ぎた今でさえ、
ファイサルが私にとって、
どんな人なのか、答えるのは難しい。
「まあ、堪えて……」
私は、岡本さんに同情的な目で見られて、
肩を叩かれた。
マカダミアナッツだけは、断ったけど。
ファイサルが会社に来てから、
私の仕事は大きく変わっていた。
業務提携だと言い出して、
散々周囲を巻き込んでおいて……
ファイサルの方から具体的なことを
言ってくるわけではなかった。
私は、仕事だけ取り上げられて、
彼からの指示待ち状態。
何もすることがなく、
宙ぶらりんの状態だった。
もちろん、体が空いたのだから、
部屋の片づけ、冷蔵庫の在庫処分も
ちゃんとしたけど。
そんなことのために、
今まで営業努力をしてきたわけじゃない。
ああ……分かってるって、母さん。
嫁に行くためには、家事も大切。
でも、こうしているうちに、
せっかく自分が取って来た客を、
他の人が担当するなんて。
どうしても耐えられない。
ファイサルの仕事が入るまで、
ガイドができるように交渉しよう。
こうして一人でいると気分が滅入ってしまう。