熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
東京駅に近いレストラン、
場所の割に空いていた。
店に入ってすぐに、
二人掛けの席につく。何かあった?
長く友人を続けているだけある。
直ぐに、何かあるって千紗が気がついた。
千紗にそう切り出されて、
私は迷いなく言った。
ファイサルに会ったと。
「ファイサルが帰って来たの?
それ、本当なの?」
千紗が、小さく切ったトマトを
サラダの上から救い出して、
上品に口に入れた。
「うん」
「何年振りだっけ?」
「6年くらいかな」
千紗は、ため息をついた。
言いたいことは、よくわかるよ、千紗。
「別に、ずっと待ってたわけじゃないよ。
ただ、偶然そうなっただけ」
千紗は、何年そんな顔をしてるのよと
言って鼻をならした。
「別に、本気で待ってた訳じゃないよ」
ファイサルのことが、
心のどこかに引っ掛かってたのは事実だけど。
でも、本当に好きだと思える人が出来たら、
彼のことなんか気にしない。
そういう人が、
目の前に現れなかっただけだ。
得体の知れない、
ファイサルのような人を待ち続けてたら、
あっという間に、老婆になってしまうではないか。