熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~



「ところが、あの冬が来たんだ。
ビジャールで、民主化運動が起こった」

「ええ」
日本では、アフリカで起きた
民主化運動の映像ばかり流れていたけど、

それが、多くの国に波及して、
アラブにも影響をもたらしたんだ。
そして、ビジャールのような、
小さな国にも影響を与えた。

改革派が集まって、
労働環境の改善を求め、
デモやストライキ等が
頻発に起きるようになったんだ。

その時、国王だった祖父は、
運悪く欧米化を阻止しようとしてて、
日常品を禁止する措置を取っていたんだ。

決して悪い政策じゃんなかった。

国民のためを思って行っていたんだ。

でも、この政策が、
一気に王族への批判になって、
こっちに向かってきたんだ。

圧政を止めろってデモが起こったんだ。

そして、煽られるようにして
民主化運動の形で、
デモが大きくなっていってしまった」

「そうだったの」

「それに対して、
国王側も何もしなかったわけじゃない。

内閣を改造を実施して、
雇用環境の改善や、
ビジャール国議会への立法権、
監査権を与えた。

国王の影響力を弱め、
改革派の要求を呑んで、
民主化に成功したと公に発表したんだ」

彼は少し涙ぐんで言葉を切った。

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