熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「その騒ぎのおかげで、国王は退位した。
国王の息のかかった第一皇子も、
国王の座を辞退した。
そして、なぜか次期国王に選ばれたのが、
私の父だった。
当時父は、
祖父である国王の言うことを聞かずに、
まったく正反対の考えで、
外国企業と組んで仕事をしていた。
だから、父なら国王になっても、
改革派も納得してくれるだろうと、
選ばれたんだ」
彼は、苦しそうに言葉を吐き出している。
私は、見かねていった。
「ファイサル?
大丈夫じゃないでしょう?
いいのよ。話さなくても」
「大丈夫だよ。美夜、
いつかは話さなければならないんだ。
今、話しておいた方が楽なんだ」
続けるよ、と私の手を取って言う。
「父は、ビジャール国王として即位した。
母は、望まないのに
ビジャール国の王妃となってしまった」
「ファイサル?いいのよ。
もう、何も言わなくても」
ファイサルは、震えながら話をしている。
「改革派の望みは、
政府もかなえることが出来たけれど、
今度は、外国人が王妃につくことを
よく思わないベトウィン族
(古くからビジャールに住む遊牧民)から、
反感を買ってしまった。
彼らは、王宮を襲って……
母を人質にした。
母が連れ去られたと聞いて、
私は国に戻ったんだ」