熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
私は、考え事をしてる
ファイサルを残して、
食べるものを探しにキッチンに来ていた。
「お腹空いたでしょう?」
と聞いても彼は、うわの空で、
「ああ」と返事をしたけれど、
質問の中身は聞いてないと思う。
豚肉とお酒を使わないから、
急な時に食べられる
パスタソースにしようかと思って止めた。
どんな成分が入ってるか分からないから、
市販品は止めた方がいいか。
冷蔵庫に残ったタラコとバターを深い皿に乗せ、
茹でたパスタを直接盛り付ける。
予め、粉末の昆布茶を隠し味に入れておくと、
茹でたパスタの熱で
バターがじんわり溶けてちょうどいい感じになる。
「いい匂い」
塩加減さえ失敗しなければ結構おいしい。
「タラコは大丈夫だったよね?」
「ん、明太子も平気だよ」
「美夜に食事を作ってもらうなんて……」
彼は、軽くこぶしを当てて、言い淀む。
「意外かな?」
「いいや。出来れば、
ずっとそうして欲しい。
こんな日が、毎日来たらいいと思った。
前にも言ったけど、
周りの学生たちの生活が羨ましかった。
休日にはデートをしたり、
友達同士で遊びに行ったり
楽しそうだなと思った」
「これからでも、遅くないよ」
「うん」
一人前を、あっという間にスパゲッティを
平らげたファイサルは、また、
あの黒い瞳で私をじっと見つめている。
見とれている間に、
彼は私の指を捕まえると、
手の甲に軽くキスをする。
「お腹が満たされると
、また、美夜が欲しくなる」
「ファイサル?今は、ダメよ」
「わかってる。その前に話をしなくては」
「ええ」