熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

彼のでっかい目の眼力から
上手にかわしてくぐりぬけよう。

彼が目の前にいると思うと、落ち着かない。

体が勝手に反応して胸がざわざわする。

6年振りに私は、
あのファイサルを目の前にしてるのだ。

幻じゃなくて。


気にするから、胸がざわざわするんだ。

気にしない。

ゴージャスなイケメンがどうした。

どうしよう。彼が見てる。目の前にいる。

本当に現実なんだ。


6年前の彼の面影はあるだろうか?

格好良かったことはよかった。
甘いマスクで背は高かったし。

6年前の彼は、ひょろっとしてた。
大学では、目立たないようにふるまっていた。

だから、学生時代のファイサルの面影は、
今の自信たっぷりな様子と違う。

もちろん、
よくなってるっていう意味だけど。

ジーンズにパーカー。
いつも彼はその格好だった。

今、彼が着ている高級そうな生地のスーツを脱いで、
学生らしい服装になっても、
この人が彼だと気が付くだろうか?

いや、無理だって。

違いを見るには、彼の姿を上から下まで見つめて、
記憶と照らし合わせなければならない。

私は、その作業がしたくないのだ。

同じじゃない。そう思えばいい。

ちょっと待って。

じゃあ、同じだったら、どうだっていうのよ。

同じですって?


ダメだ。同じだと思った途端に、
気持ちが崩れてしまいそう。


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