熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
『だったら、よく聞いて。
あなたのお母さんは、
女性に無理やり言うことを
聞かせるようなこと、
しちゃダメだって教えなかった?
どうやったら、
好きな人の愛情を勝ち取れるか、
相談にはのってくれなかったの?』
『美夜?』
『ファイサル、
あなたはとっても魅力的だと思うわ。
でも、いくらこんなことをしても、
心が結び合ってなければ、
意味がないのよ。
私が求めてるのは、
見た目のその人の魅力じゃないの。
分かって、ファイサル』
『本気で君は、私を拒絶するのか?』
ようやく呑み込めたのか、
ファイサルは言葉を荒げて言った。
『そうよ。今のあなたじゃ選べない』
『そうか……』
彼の腕の力がゆるんで、
体が自由になった。
『帰るのか?』
『ええ』
『送るよ』
『大丈夫です。一人で帰れます』
『送るのは、私じゃない。
運転手に送らせるから。車で帰りなさい』
彼は、玄関まで送ってくれた。
『まだだ。美夜。
君のことあきらめてないよ。
少しだけどまだ時間はある』
ファイサルは最後に、
こめかみにキスをして、手を振った。