熱砂の国から永遠の愛を ～ＯＬ、砂漠の国のプリンスに熱愛される～

彼は、意を決したように
グラスの中身を飲み干した。

黄色い淡い色の液体が、
彼の唇に触れ
、ゆっくりと喉を伝っていく。

私は、彼がお酒を
飲み干すさまを見守っていた。

美味しいと思うかどうかは別として、
彼の形のいい唇に、
シャンパンの華やかな感じはよく似合う。

さっき、ウィンクされた女の子は、
ファイサルと目が合ったことを
ずっと忘れないだろう。

そのくらい、ファイサルは、
異性を引き付ける。

「大人の飲み物は、どうだった？」

私は、ふざけて声をかける。

でも、いつもと違って、
彼は冗談に乗ってこない。

「ワインほど悪くないと思うよ。
でも、自分から飲みたいとは思わないな」

「そう。残念ね」

「君は、私に構わず飲めばいいよ。

いけない。ああ、そうだ。
いけない。乾杯するのを忘れてた」

彼は、グラスを傾けると、
そのまま私に飲むように促した。

「お酒のいいところはね、
アルコールによって気分が開放的になって、
話がしやすくなることよ」

「そうだね。その通りかもしれない」

そうして水を向けても、
彼の口元は固く閉ざしたままだ。

「なんなら、もう少し試してみる？」


「いや、もういいよ。
君の話を聞く前に眠くなってしまったらいけないからね」