熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「簡単さ。キスして。さあ、早く」
「ファイサル?」
「早くして。気が気じゃなくて。
頼むから、間違っても国に帰って、
親父に撤回してもらえなんて言わないでくれ」
「ファイサル……」
「いいんだ。日本国籍にすることは
、もともと考えてたことだから。
理由は君だけじゃない。
あっ、でも。美夜がいなければ、
こんなに急いだりしなかったと思う」
「本当に国を捨てるっていうの?
本気なの?
あなたは、ビジャール人じゃないの?
これからどうやって生きていくの」
「大丈夫さ。
美夜一人くらい食べさせれるさ。
これからは、一人のビジネスマンとして
ビジャールの国のために働くけどね。
そのくらいのかかわり方でいいんだ。
だから、もし、
君が王子様と結婚したいって
いう夢を持っていたら、
かなえてあげられないけど。
それでもいい?」
「あなたがその方が
いいっていうなら、私からは、
何もいうことわないわ」
「いいってことは、いいのか?
本当に結婚してくれるのか?」
「はい」
「本当に?私の妻になってくれるのか?」
「はい」
喜んでくれると思ったのに、
ファイサルはうつむいてしまった。
「ファイサル、顔を良く見せて」
彼にそっと近づいた。
「ごめん……
今、顔を見せられないよ。美夜。
嬉しすぎて。
泣いてる場合じゃないよな」
頬にそっとキスをする。
「美夜……
そんなキスじゃ、
何の足しにもならないよ。
今日は誰にも邪魔されずに、
声を出していいよ」
彼は、乱暴にカンドゥーラを脱ぐと、
私の着ているものもまで脱がせていった。
「美夜……」
「ん?」
彼の唇が優しくキスする。
「もっと、キスして」
彼がキスの合間に言う。
「美夜?さっき、
池山にキスされてたよな?」
「さっき?」
「そう、私の目の前で」
彼の冷たい指先が、頬から首筋をたどっていく。
「ファイサル……
急だったの。
不意を突かれて避けられなかったの」
「次は、許さない。
もし、そんな目に合ったら日本では、
何ていうの?
『東京湾に沈めてやる』
って言うんだろ?
なんなら、アラビアの海でもいい。
美夜に触れる男は、みんな沈めてやる」
「美夜、分かったらキスして」