熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「美夜、私をどうするつもりだ?」
傷口に唇を当てて、キスをした。
夢中でキスをしていた。
誘うなんて言うつもりはなくて。
傷跡が大きすぎて、痛々しくて。
「美夜、もういいかい?
くすぐったいんだ。止めてくれ」
ファイサルが声を出して笑い出したので、
傷口を見て、感傷的になっていた
気持ちは薄れて行った。
かわりに、私は彼に調子を合わせる。
「止めないわよ。私がそう言っても、
あなた止めてくれないくせに」
「それは、君が本気で
やめて欲しいと思っていないからだ」
顔は見えないけど、声は真剣だ。
「どうしてわかるのよ」
彼の背中を指でなぞり、
彼にぴったりくっついて、
さっきよりも強く背中に唇を当てる。
「挑発してるのか?」
寝返りを打ったと思うと、
あっという間に私に覆いかぶさった。
「どうしてやめるの?
せっかくいいところなのに」
心臓がドキドキする。
彼と肌が重なっているところが、
熱を帯びて熱くなる。
「ダメだ。君の好きなようにはさせない。
コントロールが効かないのは
好きじゃないんだ。言っただろう?」
「ファイサル、
私だって、たまには……」
「美夜、静かに……」
言葉は穏やかだけれど、目つきは鋭い。
「ファイサルどうしたの?」
「せっかく、君の品位を損なわないように
我慢してきたのに。
どうやら、
ここで君を襲っても大丈夫のようだな。
挑発するくらい私が欲しいなら、
望むようにしてやる」
背中がぞくっとした。
獰猛な猛禽類のような目つき。
狩りをする前の鷹が、獲物を見る目。
動悸が激しくなる。
ただでさえ、
ファイサルに見つめられると、
平静ではいられないのに。
襲っても大丈夫って……
「お願い……優しくして」
「ダメだよ。それじゃあ、
何度抱いても足りない」
頭がどうにかなってしまいそうなほどの
緊張感を感じた。
ゆっくりと指でなぞるように体を愛撫され、
彼が触れた後から溶けてしまいそうだった。