熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

最終日だというのに今日は、あいにくの花曇り。

すっきりしない空が広がっている上に、気温も低い。

最後の日本の景色を写真に収めるのは、パッとしない天気になってしまった。

天気は、パッとしなくても、
今年は、この夫婦のお陰で、どの日本人よりも、多くの桜を見ることができた。


飛行機にに乗り込む前に、三人と申し合わせたようにゲートの前で立ち止まる。

ほんの短い時間だけれど、濃い時間を一緒に過ごした。

もうすぐ私と別れて、国に帰ってしまう夫妻と別れを惜しむ。

「まるで桜のようね」

ミセスウォーレスの方が言う。

「あっという間に楽しい時間は過ぎて、去って行ってしまうのは、本当に桜の花のようですね」
私も少々涙ぐみながら、ミセスウォーレスに答える。

来年もこうして、二人そろって会えるといいのだけれど。


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