熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「ファイサル……
こんなこともう無理。
あなたの立場のような人なら……」
息も絶え絶えに言う。
「他の女性ってこと?
そう言うのはもう、ごめんだ。
夕食に並べられる料理のように、
どれにいたしますかって、
女性をあてがわれるのは嫌なんだ」
「テーブルに並べられた料理ですって?」
「これでも、次期国王候補だったからね。
国中からお妃候補が集められる。
ビジャールの有力者の娘、旧家の出の娘。
いろいろさ。政治的に、
私の後ろ盾になってくれそうな父親の娘を
妻に選べと、しつこく言われてた」
「どうしてそうしなかったの?」
「どうしてって。
君は好きな男にこうして触れられるのと、
好きでもないけれど、
結婚した方が政治的に優位だっていう男と、
どっちに抱かれたいと思う?」
「それは……」
「君は、私が他の女に、
こんなことしても平気なのか?」
彼は、罰を与えるように、
体のいたるところにキスを落としていく。
「違う……
ファイサルったら、そんな質問しないで」
「美夜、
言ってくれなきゃわからないよ。
君は、私に他の女性がいた方がいいのか?」
私は、彼に向き合った。
「いいえ」と首を振る。
「それなら聞くけど。
君こそ、私でいいのか?」
「どうした、美夜?答えないと、
もっと分からなくさせるよ」