熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「起きてたのか?」
「ええ」
「眠れた?」
「無理だったな」
「ベッド短すぎたわね。
あなたの足がはみ出してる」
「足の問題もあるけど、
眠れないのは、君が服を着ないで
横にいる方が問題だったよ。
おかげでほとんど眠ってない」
「やっぱり、一緒に寝ない方がいい?」
「違うよ。一緒に寝て、
眠れない方がずっといい」
「そう」
「どうかしたのか?」
「そろそろ起きないと、
仕事に行かなきゃ」
「まだいいだろう?午前中は、
私がいなくても秘書がさばいてくれる」
「ダメよ。仕事には遅れずに行くものよ」
「仕事がどうしたんだ。
君はどこにも行かないで、
私に抱かれていればいい。こっちへ来いよ」
「時々、本当に横暴になる時があるのね。
あなたは、もう王子様じゃないのよ。
普通の日本人なんでしょう?
だったら、毎朝ちゃんと起きて、
仕事をして。勤勉にならないといけないわ」
「別に。家にいてもお金は稼いでるし。
私には、仕事よりも美夜との時間の方が大切だ」
「そう言ってもらえてうれしいけど、
長年やって来た習慣を
変えることはできないの。
起きないなら、私は先に仕事に行くわ」
彼は起き上がった。
「嫌だ。私は君の会社の大株主だし、
提携会社の社長だ。就業規則を変えるぞ」
「何、言ってるんですか?」
「それに、君は私の秘書だ。
私がいなければ仕事なんかないだろう?
「そんなことありません。
やることはたくさんあります」
毎日のように、引き留めようとする彼と
こんなやり取りをする。
「中東のビジネスマンって
こんなに緩いの?」
「違うよ。
本当は休んでもいいって思ってるんだ。
手続きもあるしね」
「じゃあ、休めばいいのに」
「いや。新婚旅行にも行きたい」
「新婚旅行?」
「どこに?」
「まだ、考え中だから言わない」
「どうしてよ。
私が旅行のプロだって知ってるでしょう?」
「それに、君が食べていたチョコレートケーキ。
目の前で本当に美味しそうに食べてたよな」
「だって、本当に美味しいもの。
今度食べに行きましょう」