熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
鍵を開けて中に入ると、思わず声をあげた。

思ってもみなかったことに、
部屋の様子がガラッと変わっていた。

「うわあっ!!」

「内装までやってくれたのか?」

リフォームというには過激なほど、
何もかも作り変えられていた。

「素敵」思わず声が出た。

ドアを開けると、
玄関からモデルルームのように
ピッカピカの部屋が現れたのだから。

それなのに、ファイサルは
心配そうに私の顔をのぞき込んでいる。


「ごめん、君の好みを聞く前に
業者が全部決めてしまったようだね」

「どうして?こんなに素敵なのに?
そんなこと気にならないわよ。素敵だわ。

私が望むよりも、
はるかに高いレベルで
揃えられているもの。これどうしたの?
お金に糸目をつけずに、揃えてくれって言ったの?」


「いいや。新婚生活を送りたいから、
それらしてくれってそう言っただけだよ」

一度でも、節約するってこと
考えたことはあるのだろうか?

「予算は?気にするなって言ったの?」

「予算?そんなもの、
聞かれたことなんかないさ。
請求書は見てないけど。
この部屋を買うよりは安かったと思うな」

業者だって、
ここぞとばかりに頑張ったのだろう。

何せ、細かいことは、
何も言わずに言い値でお金を払ってくれるんだから。


どういう感覚なんだろう。

「美夜、電気も水道も使えるから
すぐに生活できるらしいよ……」

ファイサルは、受け取ったメールを確認した。

「ベッドも?」

「行ってみるか?」

寝室のドアを開けると、
大きなキングサイズのベッドが、
部屋の真ん中に置いてある。


「横になって見る?」
私はファイサルに笑いかける。

「こっちに来いよ」
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