熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「ファイサル?少し外に出ましょうよ」
お酒が入って気持ちが高ぶってる私は、
彼を誘って夜の街に出た。
きっと、ホテルに部屋を取ってるのだろう。
このホテルをずっと前から使っていて、
彼は従業員とも顔なじみだ。
このままだと、彼の意のまま。
何でも言う通りにされそうだった。
それに、
ちょうど今日明日にでも、桜が満開を迎える。
少し、外の空気に触れて歩こう。
そして、そのまま電車で帰ろう。
「ファイサルは、桜の季節に日本に来たことあった?」
「遠くから眺めたことはあるよ。乗り物の中から見たり」
「それじゃあ、日本で桜をちゃんと見てないのね?」
「多分そうだと思う」
「それなら、絶対行かなきゃ」
私は、迷わず
千鳥ヶ淵の桜を彼に見せたいと思った。
何とか雨も降らずに天気は持ちそうだし。
「ねえ、行きましょう?」
「美夜がそういうなら」
私は、彼の手を引いて夜の街に繰り出した。
タクシーを拾って、
桜を見に来た見物客の中の中に紛れ込む。
桜を見に大勢の人がいた。
「凄い人だね」
「ええ」
花の時期、
桜はきれいにライトアップされている。
水面に淡い花びらの色がうつし出されて、
幻想的な姿を見せている。
「夜桜はとってもきれいなの。
あなたは、結局、桜を見ないで帰ってしまったでしょう?」
「そうだったね」