熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「そう。よかったじゃないの。
日本で暮らすなんて
簡単に言ってしまったこと、後悔してたんでしょう?」

「後悔なんかしていない」

「でも、結局は
国に帰るんじゃないの。
あなたは人の期待を裏切れないんだわ。

私には、最初から
勝ち目はなかった。
そうでしょう?

今回は、どうして黙って行かないの?

6年前と違って、
どうして私が知らないうちにいなくならないの?」

「美夜」
彼は、それっきり無言になった。

「今回は、前のように
私のもとに戻ってくる気がないからね?

あなたは、
わざわざ山形までやって来て、心残りだったお母さんへの思いを鮮明にさせて、もう思い残すことなく離れていくのね?」


「違うよ、美夜。
国の父の具合がよくないんだ。

父に万が一のことがあったら、大変なことになってしまう」


「どんな理由であれ、
私には引き留めることはできないんでしょう?」


「美夜、私はどうしたらいいんだ?

王の次に、王位を継ぐ後継者が
控えていないといけないんだ。

私は議会に、自分の異母兄弟の弟を推挙した。

でも、議会がはねつけたんだ。
もし、国王に何かあって
その上、第一王子も不在ということになれば、上に立つものが誰もいない、
空白期間が出来てしまう。

他国から干渉を受けるかも知れない。

王のいない弱い立場の時に、
他国から攻め込まれたら、
ビジャールのような小さな国はひとたまりもない、だから……」
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