熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「美夜、君はどうなんだ?私と一緒に来る覚悟はあるのか?
何もかも捨てて、私のもとに来られるか?」
しっかりと私を抱く腕。
声は震えていたけど、しかり聞こえた。
「ファイサル?」
「君は、家族や友達や、住み慣れた日本をでて、私と一緒に来られるのか?」
まっすぐに見つめる目。
すべて?すべて私に捨てろっていうの?
思ってもみなかった言葉にうろたえた。
「日本を離れて、ビジャールであなたと暮らすってこと?」
「そうだ。今のところ一緒にいられるのは、それしかない」
動揺して、考えがまとまらない。
そんな大事なことを、一瞬で決めなければならないなんて。
ファイサルの真剣な眼差しを、受け取ることが出来ない。
「ファイサル、ちょっと待って……」頭が働かない。
「残念ながら、考える時間はもうないみたいだ。ムスタファが私たちに気が付いた」