熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

黒い影が、こっちに向かってやってくる。

黒い影は、どんどん大きくなり、
死神のように私たちの目の前に立ちはだかった。


『ファイサル、支度はできたか?』

ムスタファは、
英語で話しかけてきた。多分、私がいるからだろう。

『ああ、でももう少し……』
ファイサルが言い淀む。

『ダメだ。すでに、
空港にチャーター機を用意してある。これからすぐに向かうよ』

『どういうこと?』
私も英語で答えた。

『悪いけど、説明してる暇はない。
あんたはレンタカーで来てるんだろう?だったら、そのまま帰ってくれ』

『ムスタファ、待ってくれ。
彼女と一緒に空港まで行くよ』

『好きにしろ。ただし、
ファイサルも俺も一緒に乗せてもらう』
< 242 / 295 >

この作品をシェア

pagetop