熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
黒い影が、こっちに向かってやってくる。
黒い影は、どんどん大きくなり、
死神のように私たちの目の前に立ちはだかった。
『ファイサル、支度はできたか?』
ムスタファは、
英語で話しかけてきた。多分、私がいるからだろう。
『ああ、でももう少し……』
ファイサルが言い淀む。
『ダメだ。すでに、
空港にチャーター機を用意してある。これからすぐに向かうよ』
『どういうこと?』
私も英語で答えた。
『悪いけど、説明してる暇はない。
あんたはレンタカーで来てるんだろう?だったら、そのまま帰ってくれ』
『ムスタファ、待ってくれ。
彼女と一緒に空港まで行くよ』
『好きにしろ。ただし、
ファイサルも俺も一緒に乗せてもらう』