熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

「考えてって言われても、
私はどうしたらいいの……」

「美夜、離れたくない……」

『ファイサル、行くぞ』

ムスタファが戻って来た。

彼は、私たちのことを冷ややかに見ている。

「美夜、なぜ答えない?
それが君の答えか?」

ファイサルは、頼むから、
考え直してというように私を揺すって繰り返す。


ムスタファが、
ファイサルの言葉を遮るようにアラビア語で話しかけた。

『ファイサル、
こんな女なんか連れて行ったら、余計ややこしくなるだけだ。

こいつのことなら、
打ち合わせ通り、池山に頼んでおいた。

羽田からの便は到着してるから、空港内にいるはずだ』

ええっ?

池山さん?
どうして池山さんがここに?

ファイサルが、彼を空港に呼んだっていうこと?



『どういうことファイサル?』



私の体は、
凍り付いたように動けなくなる。



『美夜、それは違う!
私は頼んでなどいない』

ファイサルは、必死に取り繕う。

『池山さんに、
私を迎えに来るように頼んだの?』

私は、絶望的な気持ちになった。

『違う、
そんなことするはずない。私は頼んでいないよ』

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