熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
『最初から、
別れるつもりだったんだ』
半分々だった気持ちが、
ピタッと決まった。
もう、気持ちも揺れなくなった。
『美夜、違う。
ちょっと待ってくれ、ダメだ。
こんなふうに君と別れたくない』
『別れ方に何か意味があるの?
どんなに好きだって言ったって、
あなたはその言葉の裏に、
いつか別れなきゃいけないって思って、私に言葉をかけてたんでしょう?』
彼は、力なく肩を落とした。
『美夜、君の言う通り、
そうかも知れない。
残念ながら今は、
どっちが本当なのか、君を説得している時間はない』
彼は、一度だけ頬にキスをした。
かるく、
欧米人が挨拶するようなキスだ。
ファイサルは、私の体を離した。
『美夜、お別れだ。
君が言う通り、
ビジャールの灼熱の気候には、
日本の美しい桜の木は育たない。
君はここから離れられない人だ。
だから、私も無理にとは言わない。
美夜。気を付けて帰るんだよ。ほら、池山が迎えに来た』
彼は、私の手を離して、池山さんを呼び寄せた。