熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
終章
ターミナルビル。
せめて飛行機が、飛び立っていくところを見れば……
上に上がろう。
展望台どこだろう?
送迎デッキの看板が見えた。
そこに行こうとすると、池山さんに止められた。
「美夜ダメだよ。羽田行きの便、すぐに出るから」
「少しだけなら……」
「ダメ。レンタカー返す手続きしなきゃいけないだろう?」
「うん」
池山さんが、肩を抱くようにして腕を回してきた。
池山さんの腕の中から見える範囲で、ガラス窓から滑走路が見える。
池山さんが全部手続きをしてくれた。
私はその間ずっと、飛行機が飛ぶのを待っていた。
飛行機はすぐに飛び立ったのだろうか。
それとも、ここからは角度が悪く、建物の陰になって見えなかったのだろうか?
彼が乗った飛行機を見送ることが出来なかった。
「美夜。そろそろ搭乗口に行こう」
羽田までの飛行機のチケットを渡してくれる池山さん。
「さあ、行くよ」
池山さんに背中を押され、飛行機へ乗り込む。
こうなること、ファイサルはもう私のことなんか、忘れてるんじゃないだろうかと思ってしまう。