熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「それじゃあ、今、付き合ってる人は?」
「それもないです。今はね。
えっと、ほら、仕事が楽しくて。
ガイドっていう仕事柄、
長い時間いろんなところに行ったりしてると、
どうしても彼とすれ違っちゃって上手く行かないの。
少し、仕事をセーブして彼を捕まえなくちゃ」
私が欲しいのは、おとぎ話の王子様じゃなくて。
休日にデートに一緒に出掛けてくれる彼氏だ。
それを、一緒にしてしまったら、
いけない。まずいことになる。
「どうして男なんか探すの?
もう、そんな必要はないでしょう」
当たり前のことじゃないか。
何言ってるのって目で、怒ったように睨んでくる。
「はあ……」
なんだろう?
この潔さ。迷いのない。
私に、一生独身でいろって言いたいの?
尼さんにでもなって。
「ファイサル、ずっと一人でいろっていうこと?
いくら何でも酷いよ。
私にだって誰かと付き合う権利くらいある」
「そうじゃないよ、美夜。
habibti(ハビブティ)」と彼は言った。
アラブ語で愛しい人という意味だ。
でも、この言葉は厄介で、
通りすがりの人にも使う。
焦ることはない。社交辞令の一つだ。
『君に、他の男と付き合う権利なんかないよ、美夜』
なんか言った?アラブ語だった。
美夜の前に言ったことが聞き取りにくかった。
んん?
『君は、私のものだ。誰のものでもない』
彼の瞳が大きくなり、全面、彼で覆われた。
息がかかるくらい。
彼の唇がすぐ近くにある。
ドキドキして、どうにかなりそう。
動いたら、触れてしまう。
「君にどんなふうにキスしたのか、思い出した?
美夜。キスの仕方、忘れてしまったのかな?
どうしたの?
そんなに震えてしまって。
そんなに固くならないで。
何度もキスしただろう?
力を抜いて。思い出させてあげる」
「ファイサル……私」
触れるか触れないかのようなキス。
「わかってる。ゆっくり話し合おう。
これ以上するとやめられなくなる。
続きは、ホテルに戻ってね。部屋を取ってあるんだ」