熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「ファイサル?えっと……」
「貴賓室、どんな部屋か興味あるだろう?
ここは、防犯上見学は認められない。
宿泊客じゃないと中に入れないよ」
「さあ、おいで」
ファイサルにすっかり乗せられている。
重々しく扉があくと、
黒服の人たちに迎え入れられた。
ファイサルは、エレベーターを出ると、
ホールに立っていた男に目で合図した。
ホールにもカードキーが必要で、
立っていた男がドアを開けて、私たちを入れてくれた。
「誰?」
「さあ、私も名前を知らない。
そんなことより中に入って」
貴賓室の中でも、貴重なスイートルームだった。
居室と寝室が仕切られ、広々としている。
貴賓室のスイートルームを、
この目で見るのは、私も初めてだった。
「おいで」
「えっと……」
「私は、そこでもいいけど。
そこは、ボディーガードがいるけどいい?」
どうしたものか、
ジャケットの前をぎゅっと握って下を向いていた。
「おいで、美夜。君のかわいい姿を、
他の男に見せるわけにいかない」
急にふわっと体が浮いた。
何が起こったの?
ファイサルが私を抱き上げて部屋を横切っていた。
扉を黒服の男が開けると、奥の寝室まで運んで行った。
寝室?
スイートルームだから、ベッドルームと別れている。
スイートルームの寝室で寝るのも初めてだ。
インペリアルホテルの貴賓室の
最高級のベッドに寝てみたいのは、やまやまだけど。
「美夜?さっきのワイン、
残りがあるよ。飲むと少し体もほぐれるかも知れないよ」
本当にいいワインだった。確かにもったいない。
彼が飲むわけではないのに、持ってきてもらうって。
飲むのは、私だけだった。
「残ったら、捨てなければならない。
美味しいワインなんだろう?」
もう、それはもう、最高級よ。
相変わらず意地悪な人。