熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「美夜、おいで」
ベッドの横にテーブルと椅子があった。
ファイサルはそこに置いたグラスにワインを注いだ。
私は、赤いワインの入ったグラス方を受け取る。
彼の方は、淡いクリーム色の液体。
多分、中に入っているのは、ノンアルコールかソフトドリンクだと思う。
私が口をつけずにいると、
「シャワー浴びるかい?」と聞いてきた。
無理強いはしないからと言いたいのかな。
シャワーを浴びて眠りたいけど、
隣の部屋には人がいる。
男ばかり、しかも何人も。
そんなところで、シャワーなんかに入りたくない。
「いいえ」
私は、しっかり彼に伝わるように首を振る。
「じゃあ、もう寝る?」彼は、
テーブルにグラスを置いて、ベッドを横目で見ながら微笑む。
「寝るって言われても……」
「やっぱりワイン、もう少し飲む?」
「いいえ、もう結構です」
レストランでも飲んでたし。本当にもう限界だった。
「酔った?」
私は、正直にコクンと頷いた。
「ええ、だいぶ……」
「じゃあ、眠よう」
寝ようって、言われても。
ベッド1つだし。
1つと言っても横に寝たって大丈夫なくらい、
正方形の大きなベッドだった。
ベッドに気を取られていると、
急にふわっと体が浮いた。
逞しい腕に抱きあげられていた。
ファイサルの顔がすぐ近くにある。
な、なに?どうするつもり?
当然のように抱き上げるから、
あっけに取られて言葉が出ない。
ファイサルは、そのベッドに私を置くと、
ジャケットを脱いでネクタイを緩めた。
するっとネクタイを外すと、
無造作にその辺に放り投げる。
「えっと……」
これは、どういうことかというと……
「ファイサル、何してるの?」
いくら、いい男が、
だんだん裸になろうとしても、
映画を見てるムタイに、うっとりして見とれてる場合じゃない。
これは映画じゃない。
眠いなんて言ってないで、目を覚まして。
目の前の男は、脱いだら終わりじゃなくて、
近づいてキスしよう近づいてくる。
彼は、私に微笑みかける。
本当に待ち望んでたものを、
手にするときの子供のように嬉しそうに。
「時間を取り戻すんだよ、美夜。
今まで愛し合えなかった分、取り戻すんだ」
愛し合えなかった分?
「ファイサル、それは……
離れ離れになってたカップルがいう言葉でしょう?」