熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
こっちに来ないでと言っても、彼は距離を詰めてくる。
黒い大きな目で見つめながら。
そんなに大きな目で、こっちを見ないで。
吸い込まれそうになる。

彼の長い指が伸びてくる。
そのしぐさがあんまり自然なので、見とれてしまう。

恋人じゃないんだから、そんなに優しく髪に触れないで。
「可愛い。美夜。キスしていい?」

慌てて首を振るのに、彼は手で顎の先をつかまえて放してくれない。

ゆっくりと彼が近づいてくる。
鼻がぶつかりそうなほど、近くに彼の顔がある。

ふわっと息がかかり、わざと唇じゃないところに、彼の唇が触れていく。
そのたびに、息をのむように、はっとさせられる私。
だんだん近づいてきて、とうとう唇にたどりつく。

柔らかくて、とろけるような優しいキス。
一度に奪われるなら、抵抗できるものを。

徐々に、焦らす様に彼の薄い唇に翻弄されてる。


頭が変になりそう。
閉じた目を開けると、彼は、じっと黒い瞳で見つめていた。

「お酒が程よく回ったようだね。可愛いよ」

ジャケットを脱がされ、シャツのボタンを外される。

「悪いようにしない。力を抜いて。私に身を任せて」

「そんなわけにいかない……です」

ふふっと余裕の笑みを見せる彼。

「アルコールは、閉ざした体も心も柔らかくして、開いてくれる作用がある。
君のような女性には効果的だ」

「ファイサル?お願い」

「抱いて欲しいのかい?habibti美夜。素敵だよ」

彼の方が先に服を脱ぎだした。


オリーブ色の肌。逞しい胸。

そんなのを見せられると、相手の女性が動けなくなることを彼はよく知っているのだ。

広い胸に抱かれて、むせかえるような彼の色気に当たってしまった。
こうなると、逃げることはできない。

「服を脱がしてあげる。君は、そうされる方が好きだったろう?」
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