熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
『君のすべてが欲しい』
まっすぐな、魅惑的な黒い瞳が欲望を隠さずに言う。
アラブ語で絞り出された言葉が、私の耳元でささやかれる。
彼の言葉が、頭の中でゆっくり翻訳されて意味が伝わると、
言葉の何倍にもなって体に熱く跳ね返ってくる。
彼は、こうして、相手の目を見ながら抱こうとする。
今も、キスの合間に、彼を受け入れたまま見つめあう。
視線を絡め、大きな黒い瞳で、
「君は、こうしていると幸せかって」
感情を読み取ろうとしているみたいに。
私は、モデルのような人目を引く体型ではない。
ごく普通の、日本人の女の子と同じ、
薄っぺらな体をしている。
それを、本当に、世界にたった一つしかないもの。
初めてみる貴重なもののように扱ってくれる。
彼は、ゆったりと焦らず、
二人の距離を詰めようとしている。
ファイサルは、私の顔を見つめている。
じっと見ているのが、本当に幸せと瞳で訴えながら。
こうしていると、
本当に離れ離れになったカップルが、
時間の隔たりを忘れてしまたような気がしてくる。
「大丈夫か?途中でその……
反応がないから、嫌じゃないと思って」
「いいえ大丈夫よ」
というには程遠い状態だけど。
ずっと壊れ物を扱うように扱って、もらえるとちょうどいいんだけど。
「悪かった。美夜のこと愛しるからもっと欲しくなる。だから、止められない」
そんなこと耳元で言われたら、くらくらする。