熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
私は、小さく声をあげた。
「どうかしたのか?」
ファイサルが、着替えるために寝返りを打って、私の方に背中を向けた時だった。
昨日、暗いところで手探りで触れた時には、
それほどひどい怪我だとは思えなかった。
けれど、明るい場所で見ると、はっきりわかる。
それ、いったいどうしたの?
大きな事故にあったの?
やけどでもしたの?
いろんな感情が一度に入り込んで来て、
パニックになった。
きっと、命にかかわるような
大けがだったに違いない。
今さら、何もできることはないのに、
どうしたらいいのか分からず動揺してしまった。
「美夜?落ち着いて」
「6年の間に何があったの?
ファイサル。どうしてそんなひどい怪我したの?」
彼の方が、心配そうに私の顔をのぞき込む。
「どうした?落ち着いて。嫌だったのか?」
慌てて彼が腕の中に私をおさめる。
「それなら、そうと言ってくれ。
無理強いするつもりはないよ。美夜。
頼むから何か言ってくれ。
そんなふうにされると、君から離れられない」
心配そうに顔を近づけてくる彼。
「そうじゃなくて……背中の傷」
「傷?」
「こんなの前は、なかったと思ったけど……」
「ああ。これ?たいしたことないよ」
さっと背中を隠して。すぐにシャツを着てしまった。
「ちょっと驚いてしまって。
ひどい怪我をしたんだろうなと思って。
痛かったでしょう?」
「美夜は、心配してくれたのか?」
「当たり前じゃないの」
私は、彼の傷を見ようとした。
けど、やんわりと手で拒否された。
「そうか。驚かせちゃったな。それは、すまなかった」
ふうっと息を吐きだした。
彼は、もう一度キスをする。
「お腹は減った?何か食べられるかい?」と聞いた。
「はい」