熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「すぐに朝食を運んでもらうから、
着替えておきなさい」

「あなたは?」
彼は、すでに着替え始めている。

「予定外のことになってしまったからね。
もう出かけなければならない時間だ」

ファイサルは、にっこり微笑むと長いキスをした。

「いつ帰ってくるの?」
「残念ながら、今日はずっと用事があるんだ。
夕方には戻るから、それまで自由にしているといい」

彼は、『美夜は、私のもの』
とアラビア語で言って頬に軽くキスをする。

「私のものって」私は、彼の言葉にむせながら言う。

「この商業ビルの施設内なら、
プールに行っても、エステに行っても
好きなように過ごせばいい」
ファイサルは、いったん言葉を切った。

「けど、そうだな。
私が戻ってくる前に、君は髪を整えて、
服を一枚用意しておいてくれないか。

ビル内のショッピング施設で
買い求めてくれればいいから。
こっちの希望は、
ホテルのコンシェルジュに伝えておくよ」

私が着替え終わる頃に、
ルームサービスの係りの人が入って来て、
すぐに食事の準備を始めた。

フレッシュオレンジジュース、卵料理、
イングリッシュマフィン。
野菜スープにコーヒー、いろいろ並べられて、
どれにしますかと聞かれる。

どれも本当に美味しそう。
ここに並んでるの、全部食べたいくらい。

私は、スクランブルエッグとコーヒー、それにマフィンを頼んだ。

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