熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
コーヒーを用意してくれてるお兄さんに聞いた。

「コンシェルジュに電話をかけるには、
どうしたらいいの?」

それでしたら、すぐにでもお部屋まで伺いますと言われた。

本当に、数分でコンシェルジュが飛んできた。

手に分厚いファイルを抱えて。ファイルを見て言う。

「それでは、エステサロンの方から
進めてまいりましょう」

私は、部屋にやって来たコンシェルジュの顔をまじまじと見た。

40代くらいのチーフだか、責任者だろうな。
ホテルで働いてるのを見かけたことがある。

コンシェルジェのデスクにいるあなたに、
仕事中、質問したことがあるなんて、覚えていないみたいだけど。

「では、今すぐ参りましょう」

「ちょっと、待って。
ファイサルが戻ってくるのは7時だって言ってたわ。
それなのに、どうして今すぐにエステに行って、髪をセットしてもらう必要があるの」

「はい。美容院だけではなく、
エステサロンの方にも見てもらうようにと、
ファイサル様から申し使っておりますから」
彼は、必要以上に丁寧に答える。

「だから、そんなの、お昼過ぎでいいんじゃないの?」

あの人は私の体を徹底的に磨かないと気が済まないの?

コンシェルジュは、
無表情に私の様子を見ながら言う。

「いろいろと、お時間のかかるかと思われますので、
すぐにお店にいかれた方が確実だと。

それに、時間をかけてお綺麗になさった方が、
お写真の写りもよろしいかと存じます」

「写真?なんで、写真なんか撮るの?」

「申しわけございません。
こちらは、憶測でございました。
ファイサル様からは、何もうかがっておりません」
彼は、慌てて口を閉ざしてしまった。
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