熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
短い時間だったけれど、その時間を密に過ごしていた人たちと別れる。
もしかしたら、この人に会うのはこれが最後なのでは?
ここで、さよならしたら、二度と会えなくなるのではないかと考えてしまう。
だから、別れは苦手だった。
ガイドなんて仕事をしてるのに、別れるのが嫌だなんて笑われるけど。
つい、今までにあった、過去の辛い別れが心に浮かんできてしまう。
夫婦は、毎年私を指名してツアーを申し込んでくれる特別なお客様だ。
そういうお客さんは、ずっと家族のような気がしてる。
だから、別れるのが寂しい。
とくに、年配のお客さんは、急に具合が悪くなって旅行に出られなくなるかもしれない。
楽しみにしてる分、別れもつらいのだ。
辛いけど。
それでも、こうして人に喜んでもらうのは大好きだ。
深呼吸して、気持ちを切り替えよう。
いろいろあったけれど。
今回も、二週間の行程を無事に終えることが出来た。
トラブルもなく無事に送ることが出来て本当によかった。
やっぱり屋上にいって、展望デッキから飛び立っていく飛行機を見送ってこようかな。
いやいや、止めよう。
そんなことしたら、余計に悲しくなる。
とっくに飛び立った飛行機を、今どのあたりを飛んでいるのかなと考えてしまって、結局暗くなるまで帰れなくなる。
そんなことを考えていた。
前を見ていないのは確かだった。