熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
いくつか単語を思いついたけど、
結局アラブ語で声をかける必要はなかった。
考えてるうちに、彼はもう一度、
きれいな日本語を完璧な
アクセントで返してきたのだ。
しかも……
「美夜先輩……」
どういうわけか、私の名前まで正確に。
ちょ、ちょっと待って。
美夜先輩って言わなかった?
どういうこと?
私は、こんな男性知らない。
何よ、先輩って。
「ミヤ先輩でしょう?」
また、先輩って言われた。
やっぱり気のせいじゃないんだ。
彼は、私が答えるのをじっと見てる。
まずいな。何か言わなきゃ。
彼は、待ちきれなかったのか、
気を引くように背の高い体を
すっと曲げて、
私の目の高さまで顔を近づけて来た。
そうして、
無理やり私の顔を自分の方に向けた。
まるで、
小さな女の子によくやるみたいに。