熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

「やっぱり美夜先輩でしょう?
間違いない」

ニコッと笑って
完璧な発音で言われた。

もう一回言って?

言っておくけど、彼は、
完璧イケメンのアラブの王子さまのよう。

黒い短めの髪、きりっとした眉。
オリーブ色の肌をした、
中東の目鼻立ちの通った美形だ。

彼のような人が、
話しかけて来ただけでも信じがたいのに、その彼が日本語?

なんで日本語なんか話せるのよ?

んんっと。私は首を振る。
ダメ、頭が混乱してきた。

何度聞いても、
彼の容貌と出てくる言葉が一致しない。

涼しげな眼差し。

つい見とれてしまうような
ゴージャスな男性なら、
すれ違っただけでも覚えてるはずなのに。

私は、ごめんなさいと謝った。
誰だか分からないわと身振りで示して。


「本当に覚えていないのですか?私のことお忘れですか?」

彼は、軽く失望したのか、声のトーンを落として言う。


「ん……」と申されましても。

すみません、
思い出せませんどなたでしょうか。

きっと、どなたかとお間違えでは?

何しろ、
ビシッと高級な生地のスーツで決めて、
涼しげに微笑む彼は、
別世界の映画のスクリーンの中から飛び出してきたみたい。

そんな人がどうして私に?


大丈夫ですか?

と差し出された手も、
私なんかが受け取っていいのか、分からないほど神々しい。

「お会いできてうれしいです。
これからどこかにいかれるのですか?」

それに、
どうしてこんなきれいな日本語を話すの?


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