熱砂の国から永遠の愛を ～ＯＬ、砂漠の国のプリンスに熱愛される～

やっぱり、謎だ。
長身の体を優雅に動かす身のこなし。

「大丈夫ですか？」
と気遣ってくれる優しい紳士的な態度。

どれも完璧。

こんな人周りにいた？どこかで会ってたら絶対覚えてるはず。

彼の顔を見ながら、記憶のリストからアラブ人を思い出そうと試みる。

仕事で会ったのかな？

一瞬、会っただけだったのかな？

背だって、ただ高いってだけの人は、
いくらでもいるけど。

こんなに何もかも整った人はいない。

苦し紛れに、
日本人的な微笑みで彼に笑いかける。


日本人と、かけ離れた堀の深い顔。

これだけで、
私の友人知人のほとんどは除外される。


微笑むと、どこか懐かしい感じがする。素敵。

きりっとした眉、
吸い込まれそうな黒い大きな瞳。

すっと鼻筋が通った美しい顔立ちに、
笑うと同時に人を虜にしてしまう口元。

ここまで整ってると、
どんなに頑張って整形手術を受けて来ても無理だ。

その上……

えっと。見とれてる場合じゃないわね。


何か言わなきゃ。