レンタル彼氏–恋策–

 もしかすると、紗希ちゃんはあの可愛さを最大限利用し、昭と凜翔で二股をかけているのかも!だとしたら合点がいく。昭は紗希ちゃんに甘えられてデレデレしてたし、凜翔も紗希ちゃんを大切にしている感じだった。

 可愛い女の子はとにかくモテる。二股も充分あり得ることだ。紗希ちゃんは二面性があるというか、色々黒そうだし……。

 実際、凜翔は私に連絡先を教えてくれなかったし、家の場所も知られたくなさそうにしてた。さっき紗希ちゃんが言っていた言葉がホントだとしたら、凜翔は私につきまとわれることを嫌がっているということになる。

 胸がじくんと痛んだ。昭と紗希ちゃんがイチャつくのは平気だったのに、凜翔に嫌われているかもしれないことはとてもショックだ。

 紗希ちゃんと付き合ってるかもと思った時は凜翔のことを諦めるつもりだったけど、そうじゃないかもしれない今は、やっぱり嬉しくなってしまう。でも、悔しいことに紗希ちゃんの攻撃ゼリフが耳から離れない。

 凜翔は内心私にうんざりしているのかもしれない。仕事柄隠すのがうまいだけで、私のことなんて何とも思っていないのだろう。部室で再会した時、私と違い凜翔は動揺しかしてなかったし、嬉しそうでもなかった。

 心晴(こはる)の頼みで三人で大学祭を回ることになったけど、それもキャンセルするべきかな……。凜翔には嫌われたくない。
< 107 / 165 >

この作品をシェア

pagetop