レンタル彼氏–恋策–
『色んな意味で凜翔君には敵わないって、あの時思った』
あの時。それはいつのことなんだろう?
白状するみたいな口ぶりで、優は語り始めた。
『詳しく教えてはもらえなかったんだけど、彼、けっこう前からひなたのことが好きだったんじゃないかな』
「そんなはずない…!凜翔がそう言ってたの?」
信じられなくて、つい、反発的に返してしまう。
「ごめん、熱くなって……」
『ううん。俺もごめんね。凜翔君が直接そう言ってたわけじゃないけど、彼の様子見てたら分かるよ。ひなたのこと好きなんだろうなーって。昭んち行って、昭とひなたが楽しそうにしてるの見て、俺も凜翔君と同じ気持ちになったしね。ヤキモキ、みたいな』
そうだったんだ……。
優に対して無神経だけど、凜翔がそう思ってくれてたかもしれないと知って顔がニヤけてしまう。
「でも、私、昭んちで凜翔と会った覚えないんだけどな……」
昭との会話で弟がいるってことは知ってたけど、直接会ったことはなかった。それに、凜翔みたいに魅力的な人、一度会ったらそうそう忘れないと思う。記憶力にはあまり自信がないけど……。
『やっぱりひなたは覚えてないんだね、でも、そうかもしれない。凜翔君は昔からクールで口数の少ない子だったし、ひなたが来ると彼は決まって自分の部屋に隠れちゃってたから。奥手なのかも』
「そう、なの…?」