レンタル彼氏–恋策–
これからどうしようかな……。優に心配かけてるから遅れてでも大学には行きたいけど、今は凜翔に会いたい…!1秒でも早く!
優に色々聞けたおかげで、凜翔への距離がまた一歩近付いた気がする。人からの情報も大事だけど、やっぱり最後は本人と話して決めたい。
凜翔の家に向かう途中、杏奈から電話が来たので、歩きながら話すことにした。
「さっき、親衛隊のことで優から電話があった。杏奈が伝えてくれたんだよね?ありがとう…!」
『ううん、こっちこそ勝手なことしてごめんね。焦って思わず、通りかかった相馬(そうま)に言っちゃって……。それより、本当に大丈夫?』
優と私が別れてることを気にして何度も謝り、杏奈は心配してくれた。
「もう、全然大丈夫!ホントにありがとうね」
特別親友って感じでもないのに、どうして杏奈はそこまでしてくれるんだろう?
「杏奈こそ色々忙しいのにわざわざ大学まで様子見に来てくれたんだよね。この前もそうだったし……。こっちこそごめんね」
『ひなたは覚えてないかもしれないけど……。大学入ってちょっと経った頃、皆で飲み会に行った時、たまたま隣の席だったひなたは、私の夢を応援してくれたんだよ』
そういえば、入学当時の杏奈は今と違って無気力な感じだった。それなりにしゃべってはくれるけど心ここにあらず、みたいな。
『ホントはお菓子の専門学校に行きたかったのに、高校の頃、三者面談で担任に大学の方がいいって言われたから親もそうしろって言い出して……。仕方なく受験したものの周りの子とノリ合わないしモチベーション上がらないしで、大学入って早々辞めようかなって、あの頃はホントに悩んでたんだよね……。出会う人は皆「夢より遊びだ〜」って感じで、まともに話を聞いてくれる人なんていそうになかったし。そんな時、ひなただけは私の話に興味持って目を輝かせながら背中押してくれた。大学は今も義務感で行ってるからそんなに好きじゃないけど、ひなたがいるから続けられてる。もちろん夢は諦めてないし』