レンタル彼氏–恋策–
むしろ、私は……。
「優と別れたよ」
「ウワサでちょっと聞いたけど、本当に別れてたなんて……」
凜翔は頭がいい。きっと、優との間にあったことは、口にしなくても察しているんだろう。
「凜翔は、私に対して罪悪感しかない?」
「えーー?」
「そうじゃないって自惚れたい。連絡先教えてほしいって言ったら、今度こそウンって言ってくれる?」
スマホを両手で持ち、凜翔の顔を覗き込んだ。そこには、うっすら頬を赤くして困ったような嬉しいような複雑な顔をする凜翔がいた。初めて見る彼のいじらしい表情に胸が甘くしめつけられる。
「ひなたと連絡先を交換しなかったのは、自分への戒めと、独占欲を抑えるためだった」
「独占欲…?」
「これ以上ひなたがそばに来ることを望んだら、自分のしてきたこと都合よく隠してしまいそうだった。その反面、優さんと付き合ってるひなたと連絡先を交換するのはこわかった。どんどんハマっていきそうで……」
凜翔は、伏せていた目をまっすぐこちらに向けた。
「俺だけのひなたになってくれる?」
「ちょっと前から、心は全部、凜翔に持ってかれてたよ」